永住権申請と年収要件:知っておくべきポイント

日本の永住許可(永住権)は、在留期間の制限なく日本に住み続けることができる権利であり、将来的にずっと日本に住みたい外国人にとって魅力的です。しかし、永住権を取得するためには、法律で定められたいくつかの要件を満たす必要があり、その中でも「独立生計要件」、すなわち安定した収入があることは非常に重要な要素となります。
この記事では、永住権申請における年収要件について、基本的な考え方から具体的な目安、注意点までを詳しく解説します。
永住権申請における基本的な年収要件
永住権を申請するためには、「独立して生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」が求められます。これは、生活保護などの公的な支援に頼ることなく、日本で安定した生活を送れるだけの経済的な基盤があることを意味します。
収入の安定性と継続性
永住権の審査では、単に一時的に高い収入があるだけでなく、将来にわたって安定した収入が見込めるかどうかが重視されます。そのため、通常は過去複数年間の収入状況が審査対象となります。
直近5年間の収入状況が審査されます。
- 「高度人材ポイント計算表」で70点以上の方は直近3年間
- 「高度人材ポイント計算表」で80点以上の方は直近1年間
- 日本人・永住者・特別永住者の配偶者の場合:直近3年間
- 日本人・永住者・特別永住者の実子等の場合:直近1年間
在留資格 | 過去◯年分の収入証明 |
---|---|
就労資格(技術・人文知識・国際業務など) | 直近5年分 |
高度人材外国人(80ポイント以上) | 直近1年分 |
高度人材外国人(70ポイント以上) | 直近3年分 |
家族滞在 | 直近5年分 |
日本人の配偶者 | 直近3年分 |
日本人の実子 | 直近1年分 |
永住者・ 特別永住者の配偶者 | 直近3年分 |
永住者・ 特別永住者の実子 | 直近1年分 |
定住者 | 直近5年分 |
不動産や預貯金があることなども考慮されますが、安定性・継続性の意味では継続的な仕事による収入が重要となります。
また、特に就労資格の場合、5年間連続して300万円ほどの年収があることを求められます。
ある年は年収が下がってしまっている、などの場合は基準の年を見直す必要があります。
具体的な年収の目安
法務省は永住権申請に必要な具体的な年収額を公表していません。これは、個々の状況(家族構成、居住地域など)によって必要な生活費が異なるためです。しかし、一般的には以下のような年収額が目安とされています。
具体的な目安とは
- 単身者の場合: 年収300万円以上が一つの目安とされています。
- 扶養家族がいる場合: 扶養家族1人につき、約50万円~80万円程度が追加で必要になると考えられています。
(重要)
上記の金額はあくまで一般的な目安であり、この金額を満たしていれば必ず許可される、あるいは満たしていなければ不許可になるというものではありません。審査は個別の状況に応じて総合的に判断されます。
日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子の場合
これらの身分を持つ方は、永住申請において「独立生計要件」自体は免除されます。つまり、申請者自身に高い収入がなくても、世帯として安定した生活が送れていれば問題ないと判断されやすいです。
ただし、全く収入がない場合や、生活保護を受けている場合などは許可が難しくなる可能性があります。あくまで「世帯として」生計を維持できることが重要です。

持ち家のため家賃がかからないなど、総合的な判断となるため、300万円に満たないケースでも許可されることはあります。
専門家に相談するなどして、あきらめないようにしてください。
扶養家族の範囲
年収審査において考慮される「扶養家族」とは、税法上の扶養親族を指すことが一般的です。ただし、別居している親族を送金によって扶養している場合などは、状況に応じて個別に判断される可能性があります。
日本国外にも扶養家族がいるなど、扶養家族が多すぎるために永住申請では年収面で難しくなる場合があります。
収入を証明する書類
生計要件を満たしていることを証明するために、以下の書類の提出が求められます。
- 住民税の課税証明書: 直近の必要年数分
- 住民税の納税証明書: 直近の必要年数分
これらの書類で、収入額だけでなく、きちんと納税義務を果たしているかも確認されます。
公的義務の履行:年収と並ぶ重要項目
いくら高い年収があっても、税金(住民税、国税)や社会保険料(年金、健康保険)をきちんと納付していなければ、永住権の許可は極めて難しくなります。「公的義務の履行」は独立生計要件と並んで非常に重要な審査項目です。過去の未納や滞納がないかしっかり確認しましょう。
年収が目安に満たない場合の対策
もし現在の年収が一般的な目安に届かない場合でも、すぐに諦める必要はありません。以下の対策を検討してみましょう。
- 世帯収入での申請を検討する
日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子の場合は、世帯単位で安定した収入があれば、世帯収入として合算して申請することを検討します。 - 収入の向上を目指す
転職や昇進、資格取得によるキャリアアップ、あるいは副業などによって収入を増やす努力をすることが考えられます。ただし、永住申請直前の急激な収入増は、安定性の観点から慎重に判断される可能性もあります。 - 専門家への相談
永住権申請は個別の事情が大きく影響するため、画一的な基準だけでは判断できません。年収面に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談し、ご自身の状況に合わせたアドバイスを受けることを強くおすすめします。専門家は、収入以外のポジティブな要素(資産状況、日本社会への貢献など)を効果的にアピールする方法についても助言してくれます。
まとめ
永住権申請において、安定した年収があることは非常に重要な要件の一つです。明確な基準額は公表されていませんが、単身者で年収300万円以上、扶養家族1人につき約50~80万円加算というのが一般的な目安とされています。
しかし、これはあくまで目安であり、審査は収入額だけでなく、収入の安定性、納税状況、家族構成、日本での滞在状況、素行などを総合的に考慮して行われます。
年収要件を満たしているか不安な場合や、ご自身の状況で永住権が取得できるか知りたい場合は、経験豊富な行政書士などの専門家にご相談ください。
愛知の永住ビザ申請デスクでは、永住許可申請サポートを行っています。
永住許可の該当性の確認から、お忙しい方のために書類収集・作成、入管への申請、入管とのやりとり、結果受け取りや永住申請に関するアドバイスなどを行っています。
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